管轄外への本店移転

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本店を「管轄外」へ移転する際の手続きガイド:二重申請と印鑑届出の注意点

会社の規模拡大や事業戦略に伴い、現在の法務局の管轄区域を越えて本店を移転することがあります。これを「管轄外本店移転」と呼びます。

管轄内(同じ法務局のエリア内)での移転に比べ、管轄外への移転は「申請書の作成枚数」や「登録免許税」が倍になるなど、手続きの難易度がぐっと上がります。本記事では、実務上の重要ポイントと、令和の改正後の運用を踏まえた印鑑届出書の扱いについて詳しく解説します。

1. 「管轄外」本店移転とは?

法務局にはそれぞれ担当する区域(管轄)が決まっています。例えば、川口市(さいたま地方法務局)から東京都文京区(東京法務局)へ移転する場合、管轄が変わるため「管轄外本店移転」の手続きが必要になります。

この手続きの最大の特徴は、「旧管轄の法務局」と「新管轄の法務局」の両方に対して同時に登記申請を行うという点にあります。

2. 手続きの流れと必要書類

手続きは大きく分けて「社内決定」と「登記申請」の2ステップです。

社内決定(株主総会と取締役会)

通常、定款には「当会社は、本店を〇〇市に置く」といった最小行政区画までの記載があります。市を跨ぐ移転の場合、まずは株主総会の特別決議による定款変更が必要です。その後、具体的な移転先住所や移転日を取締役会(または取締役の決定)で確定させます。

登記申請(二重申請の仕組み)

申請書は「旧管轄用」と「新管轄用」の2件分を作成しますが、提出先は現在の管轄法務局(旧管轄)の窓口に一括して提出します。旧管轄の法務局が内容を確認した後、新管轄の法務局へ書類を転送してくれる仕組みです。

項目

旧管轄法務局分

新管轄法務局分

主な添付書類

株主総会議事録、株主リスト、取締役会議事録

(不要旧管轄から転送されるため)

登録免許税

3万円

3万円

印鑑カード

申請書を提出

3. 【重要】印鑑届出書の提出について

印鑑届出書は不要

令和7年4月21日より、旧管轄から新管轄へ印鑑データが引き継がれるため、新管轄への印鑑届は不要になりました。

印鑑カード交付請求書は必要

移転前の印鑑カードは使えなくなります。移転先の法務局で新しい印鑑カードの交付申請を行って下さい。

4. 登録免許税とコストの考え方

管轄外移転の場合、登録免許税は合計6万円かかります。

  • ●旧管轄分:3万円
  • ●新管轄分:3万円

これに加えて、司法書士への報酬や、履歴事項全部証明書の取得費用などがかかります。もし移転と同時に「役員変更」や「目的変更」を行う場合は、さらに登録免許税が加算されるため、スケジュールと予算のバランスを考慮したタスク管理が重要です。

5. 移転後の事後手続きを忘れずに

法務局での登記が完了(通常12週間)したら、それで終わりではありません。以下の各機関への届出も必須です。

  • 税務署・都道府県税事務所 異動届出書の提出
  • 年金事務所・ハローワーク 社会保険・労働保険の所在地変更
  • 銀行・クレジットカード 住所変更手続き
  • 郵便局: 転送届の提出

特に税務署への届出は、移転後の納税通知書の送付先に関わるため、登記完了後速やかに行いましょう。

結び:スムーズな移転のために

管轄外の本店移転は、作成すべき書類が多く、印鑑証明書の有効期限や定款の文言確認など、細かな注意点が散りばめられています。不備があると「補正(修正)」のために法務局へ足を運ぶ必要があり、事業に支障をきたす恐れもあります。

当事務所では、議事録の作成から印鑑届出、オンライン申請による迅速な登記完了までトータルでサポートしております。オフィス移転をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。

 


「自社の移転が管轄外に該当するかどうか知りたい」という方は、現在の住所と移転先の住所を教えていただければ、すぐに管轄の確認と概算の見積もりを算出いたします。まずはお電話でご連絡ください。